2012/04/30

先月、企業ブランドの話を書いたからか、

「オマエんトコも企業だろうが」って

ツッコミを何名かにされましたが、

お答えしましょう、俺。

 

「はい、そうです」

でも、残念ながら企業ブランドじゃありません。

さて、何故でしょう?

 

いや、コレねぇ。

何度も解説してるからメンドクセーんだけど、

まー、まず初めに「REFUSE」って店(空間及び活動形態)を

個人で設立したんですよ、俺。

でもって、そっから「ASH INTERNATIONAL」って

会社(流通用レーベル)を

共同出資で設立したんですよ。

まー、その会社が5年ぐらい前に分裂して、

今の「HEAT」って会社になったんですが、

会社としての存在意義としては変更してなくてね。

要するに社会的な部分で言ったら、

個人では契約出来ない仕事や信用度

または流通の為に必要なレーベルを設立しただけであって、

ブランドに関しては未だに個人でやってんの、俺。

だから、さらに要約すると、

企業自体はブランドを保有していなくて、

流通だけしか行ってないって事。

もっと言ったら、俺の会社じゃないし、

ましてや役員や社員ですらねぇ。

いくら会社が潤っても俺には一銭も入ってこねぇよ、俺。

 

だいたい、俺みたいなのが企業ブランドでやってたら、

毎年毎年、旅してアホな事やってられんし、

企業的に立ち回れてたら、

ちゃんと家も在って車も在って、

生活だとか暮らしだとかって,

一般的に経済的な部分が充実しとるわい、俺。

 

シルバーアクセサリーバブルの時代に、

荒稼ぎした企業でやってるブランドの社長とかさー、

今みたいな業界の状況になったら、

次から次へと新作出させないで、

マーケティングにパクリとコストダウンを繰り返して、

同じネタを何度もコネクリ回して、カネ回してのロンダリング。

昼過ぎ出社して、夕方から呑み行って、

夜にはオネーちゃんと遊んで、朝には寝てる。

たまに偉そうな事言って、売り上げ落ちたら部下の責任。

不況はコラボとシェイクハンドで乗り切って、

多店舗展開は数字一つで閉店御礼。

ぐらいでしょ。

考えてなきゃいけない事なんて。

面白くも何ともねぇだろ、そんな事ぐらいじゃ。

 

あっ!?

いや、そんな事も無い?

年に何度か海外視察か買い付け名目の

買春ツアーがオプションで付けば充分?

まー、いるよね。そーゆー人も。

別段、完全に否定する気にはならねぇな。

それで経済が回ってれば、それが企業ってもんだし、

一般的には金銭の豊かさが充実の一つでもあるし。

現実っちゃあ現実にそーゆーのが居る訳ですから。

 

でもね、

自分でブランドやって、

製作もブランディングもして、

金を沢山稼いで、

公私共に充実した生活。

・・・・ソレは幻想。

現実だと限りなくゼロに近いくらいに幻想。

 

はい。

っとゆー事で今月は、

ブランドやクリエイター/デザイナー。

それらにまつわる幻想についてのお話。

に、したいところなんだが、

その前に、

SHOP側にまつわる幻想について書いてからにしよう。

 

一般的な物の考え方として、

セレクトSHOPとは何ぞや!?

って事に少し触れておきますと。

おそらくは、セレクトって部分で即席的に理解出来るのは、

数多く存在するブランドやメーカーの中から、

自分達のSHOPに合った物をセレクトして扱っているって事。

はい。

大概の部分でも対外の部分でも間違ってません。

 

では、大概でも対外でもない部分で、

セレクトSHOPってなってるシルバーアクセサリーSHOP

って何でしょう?

ここいらヘンの話は全てのSHOPに当て嵌まるワケじゃないので、

凄く大まかに二つ程書きますがね、俺。

1、大概のブランドは知っていてセレクトしているようだが、

  その実、特に展示会や買い付けに行っていないSHOP

2、対外的にセレクトって事にしているが、

  その実、扱っているのはほとんどが自社ブランドのSHOP

まー、大まかに書くとこんなトコです。

 

2については、少し注意深い目線で、

店頭のアイテムを見てみれば判る事なので、

1について実例を挙げながら紐解いていくとしよう。

シルバーアクセサリーのセレクトSHOPってぐらいだから、

業界の情報にも詳しく、どこのブランドが伸びてて、

どこのブランドの新作が素晴らしいだの、

雑誌での露出や広報が上手いだのって研究して、

自分のSHOPに合ったセレクトと活動を行ってる。

当然ながらバイイングも各種の展示会を回って、

顧客に勧められるアイテムやブランドを厳選して、

新しいブランドを育てていく環境も視野に入れている。

 

そんなワケねーじゃん。

 

展示会とかやると

全国のシルバーアクセサリーSHOPのバイヤーが、

きっちりかっちり来て下さって、

研究熱心鋭意努力一生懸命に

色々とタフなネゴシエーションが行われているかと言えば、


そんなワケねーじゃん。


何処も彼処もそうかと言えば、

先に書いた様にその限りでは無いが、

それこそ、大概はってぐらいのレベルでそうです。

 

例えば、4月の上旬に

Loud Style Designの展示会を行ったワケですが、俺。

残念なんだか、これが当然なんだか、

ブランドやってる人とか、

アパレルのセレクトSHOPの人じゃなくて、

シルバーアクセサリーのセレクトSHOP

のバイヤーで来場した人、

たったの一名様。

人気無いねぇ、俺。

何だろね!?

ここはやっぱり、嫌われてるとか

気にも留められて無いって思った方がいいんかね?

それとも単純に

()HEATの小野田社長が営業してないだけか?

それとも単純に

シルバーアクセサリー業界の人々がやる気が無いだけか?

何れにしても、

取り引きが無いところの展示会にも足運んでとか、

行ける限りの展示会を回って、

研究熱心にセレクトしてるバイヤーやSHOPってのは、

悲しくて笑いが止まらねぇぐらいに少ない。

 

ただし、これが悪いかと言ったらそーゆーこっちゃ無い。

 

セレクトSHOPにはセレクトSHOP

都合や理由ってのがある訳で、

「研究熱心じゃないと税金が3倍になります」

とか、法律で定められてる訳でも無い。

商売のやり方なんてのは法に触れないレベルであれば、

自由に選べる訳だから、

そーゆーセレクトSHOPってのは、

そーゆーやり方をセレクトしてるって事でしかない。

 

しかし、一体何故にそうなっているのか?

 

大きな理由として、

売り手市場か、買い手市場かって部分がある。

20年近く前にクロムハーツを筆頭とする

シルバーアクセサリーブームだかバブルが起こり、

市場はまさに売り手市場となった。

つまりどーゆー事かと言うと、

需要(一般のお客さん)が大きいから、

SHOP(買い手)は仕入れを増やそうとする。

そうなると供給(ブランド・メーカー・輸入業者=売り手)は、

黙っていても発注がやってくる。

する事と言えば、

「ウチはシルバーアクセサリー卸してますよ」と声高にするぐらい。

しかし、

売り手市場になれば即座に違う売り手が増えるのが世の常。

そうなると始まるのが価格の崩壊とブランドによる差別化。

ブームやバブルはあくまでも時流の一端でしかないので、

当然ながら飽和状態が起り始め、

市場は一気に買い手市場へと切り替わり始める。

そこで必要とされるのが、より専門的な営業と企画。

と、なる訳だが、その話は脱線しすぎるので、

ここで話を本題に戻そう。

 

業界が買い手市場へと移った頃の

シルバーアクセサリー業界と言えば、

取り引きの流れは例えばこんな感じだ。

 

SHOPにブランドの営業が来る→扱おうって話になる→

サンプルやカタログからアイテム選んで発注→

納品されてSHOPに並ぶ→良かったですね。

 

もしくは、

ギフトショーやジュエリーショー等の合同展に出店→

来場したSHOPのバイヤーの眼に留まる→

その場で買い付けorカタログ渡す→後日営業→

発注が来て納品する→ご苦労様でした。

 

もう一つおまけに書いておくと、

雑誌等の媒体でブランドのアイテムを見る→

ブランドへアプローチ→実物見ながら打ち合わせ→

アイテムをセレクトして発注→納品されてSHOPに並べる→

販売を頑張りましょう。

 

シルバーアクセサリーの業界が買い手市場へと切り替わった頃は、

現在よりもブランド数は少なく、SHOPも多かった。

加えて、自社で展示会を行うブランドや個展の形式も少なかった。

それから10年以上が経ち、

合同展への出展者は減り、ブランドは増え、

自社や個人の展示会も増えてきたが、SHOPは少なくなった。

よーするに買い手市場が進行してるって事ではあるが、

あくまで個人的な意見で述べるなら、

ブランドの進化に対して、

SHOP及びバイヤーの進化は遅過ぎる。

 

その最大の理由はおそらくコレだろう。

 

オレが若い頃は凄かった」

 

バブルだかブームだかの頃に、

専門的な知識や情報に加えセレクト眼を鍛えなくても、

記録的な売り上げ計上してた社長だかは、

その当時の売り上げが一つの基準になっている部分が有り、

未だに当時の幻影を追っている節さえ見受けられる。

そりゃそうだ。

物の良し悪しよりも海外ブランドって言っときゃ売れて、

雑誌に出てるとか芸能人が着用とか言ってりゃ売れて、

国内のブランドは待ってりゃ売り込みに来て、

合同展に行きゃあ、ある程度のモンは揃う。

 

もう、ねーよ。そんな状態。

 

海外ブランド様々な幻想も、

考え無しに雑誌に載ってりゃいい状態も、

ぶち壊しちゃったもん、俺。

そーゆー事が理解出来ない、

そーゆー社長さん方々は、

「オレが若い頃は凄かった」

って、まるで自分が凄かったかの様に仰りますが、

それって、単純に時流の話で、誰でも出来たでしょ。

悪い言い方をすれば時代に対応しきれていないし、

それならそれでと、当時の活気を自ら取り戻そうともしない。

そーゆー状態だと、当然ながら次世代は育たない。

つまり、販売員もやる気出せないし、

先行き不安で業界に希望も持てない。

そんなんなら、海外の展示会とか回って、

とにかく売れそうなモンなら

何でも買い付けてくる社長とかのがまだマシだ。

 

いや、そんな事無いと仰る社長さん達に聞いてみたい。

現在の売り上げを販売の責任にしてはいないか?

単純に時代が悪いって事で居酒屋で愚痴ってはいないか?

ブランドの営業なんて

勝手に向こうから来ると思い込んでいないか?

人気の有るブランドのアイテムを

客寄せパンダにしていないか?

宣伝はブランド側が

勝手にやってくれると思い込んでいないか?

 

いや、むしろそーゆー社長さんだったら、

こんな文章自体も読んですらいなさそうですが、

もし、

一定以上のブランドがオンリーSHOP出して、

インターネットの販売網をフルに活用したり、

チェーン店展開を全国的にしたら?

 

もしくは、こーゆー事を書いてる俺みたいな奴が、

セレクトSHOPを全国的に展開したら?

 

さて、どーなっちゃうでしょうね?

 

何の心配も無いなら、

どーぞ、そのままの買い手市場に乗っかってて下さい。

 

 

あー・・・・・

また、余計な事を書いちまったよなぁ、俺。

そんでもって、余計なら書いても消せば良いのに、

せっかく書いたのにって、

もったいない病みたいに消さない、俺。

 

先日も、とあるパーティーで

シルバーアクセサリー業界の方々と話してて、

こーゆー文章とか言ってる事の話になったんだけどね。

「俺は基本的には事実しか書いてねぇし、

          悪気無く事実を言ってんだけど」

って言ったら、

だから、嫌われる!!」

って答を出されたってのによ。

まー、もうこれ以上は嫌われようもねぇだろうし、

今更気にしたところでどうにもなんねぇよ、俺。

 

何!?

ブランドやクリエイター/デザイナーにまつわる幻想の話?

もー、疲れたから次回な。

多分、俺。