2012/01/31

「2011年は、大三元だった」

とある忘年会の席でそんな会話が出た。

カダフィ、ラディン、ジョンイルという

独裁者三名の死があった世界情勢の変化を

麻雀用語で比喩した言葉だったが、

かといって大量の得点が何処かから出てこない。

それが今の世界情勢だ。

ドンパチやって財産略奪な半世紀前の様には、

戦争が即席の利益を生み出したりはしないし、

資本主義経済は多様化しすぎ、

消費にも行き詰まりをみせている。

それなら、社会主義や共産主義が成功するかといったら、

人間の欲望が無くなるか変化しない限りは不可能だろう。

思想としての共産主義の素晴らしさは、

大概の人が理解し納得もし易いもんだろうが、

そもそも共産主義が成立する様な生き物ならば、

こんな世界になぞなっていない。

競争が発展と進歩を生み出す事を踏まえても、

人の性や業というのを理解しておきたいもんだ。

淘汰無くして進化はあり得ないというものだし。


とかなんとか解った様な事を書いてるが、

実際のとこ正月だとか関係無しで仕事し続けて、

貧乏暇無しって言葉ぐらいでしか自分を形容できない、俺。

世界情勢や経済知識は、

物創る仕事に影響はしてもあまり役に立ったりしない。

それとも使い方が下手なだけか。

だとしたら情勢だの経済だのの知識を得るよりも

物創りが好きって方が大き過ぎるだけの話。

ちょっと興味あるとか、ちょっと得意ぐらいじゃ、

好きだって事を上回れない。


いや、だからといっても相変わらずの生き方で、

工房の流しで風呂浴びたりしてるから、

スゲー寒くて体調おかしいし、

椅子とかソファでしか寝てねぇから

全身くまなく何処かしらが痛ぇんだ、俺。

今年の目標も10年以上果たされてない

「まともな暮らしを手に入れる」になるが、

きっとまたも来年に持ち越してしまうだろう。

それもこれも、「全部貧乏が悪いんだ」って言いたいが、

「貧乏な暮らし選んだのは自分だろうが」

って言われたらそれまでだしなぁ。

好きこそ物の上手なれっても、

こんな浮浪者の様な暮らしが好きな訳も無く。

生き方は少しも上手にならない。

十何年か前に選択した道が、

自分は金持ちにはなれないし良い暮らしも出来ない。

茨の道にガソリン流して燃えてる中って、

そん時から解ってて選択したのは確かに俺だ、俺。

まーソコに輪をかけて

散々な苦労させる奴が何人も出てくる事までは、

流石に予測不可能だったけどよ。


しかし前置き長くなったが、

ん〜っとねぇ、

シルバーアクセサリー業界の話だとね。

まー今年も更に販売店が無くなったり

専門誌が消えたりすんじゃね。

って事はウチも大変だなこりゃ、俺。

んっん〜とねぇ、

でもLoud Style Designの取引先で考えると

シルバーアクセサリーの専門店って少ないんだよね。

まーかといってアパレルのセレクトショップが、

景気に左右されてない訳じゃないしねぇ。

ここ何年か毎年行ってるアメリカも

打開策無く景気下がる一方で、

向こうで仕事すんのも大変だしなぁ、俺。


でも、何かこれで良いんじゃないかな。

って部分も少なからず有るんだよね。

こっから更にリアルに能力が試されてく事になるし、

やめたい奴等はやめてくだろうしって点で考えても、

大きな淘汰が進化を生むって理論で考えたら、

それが正解なのかもしれんしね。

そんな事言っても、自分トコが潰れたらどうすんの?

って話になりそうだけど、

そしたらそれで良いんじゃないかと思う。

良い結果って意味じゃなくて、

淘汰と進化の過程で、

「俺は弱かった」っていう一つの結論が出る

そーゆー意味でね。


自分達でコントロール出来ない様な、

肥大したブランドや店をやりたい訳でも無いし、

必要以上の金が欲しい訳でもなく、

その為に自分の生活などとうの昔に捨て去ったけど、

それでも潰れるってんなら「俺は弱かった」それが結論。

不思議とね。それが結論だとしても恐れも無いし、

なってみなきゃ解らんが多分後悔も無いんだよね、俺。

そんな覚悟は始めた時に既にしてるから。

ってのもあるけど、潰れてズタボロになったら、

其処で見える景色ってのを楽しんじゃうんだろうな。

って自分を予測してるからもある。

このままブランドや店を理想に向かわせる方が、

そりゃあ断然楽しいけど、

憂いのスキッドロウも嫌いじゃない。

まー全部、あくまで個人的な意見でしかないがね。


会社とか店とかブランドって事になると、

そーゆー訳にはいかない。

個人で好き勝手ってのと違って、

取引だったり雇用だったり保障だったりと

色々様々に問題と影響が出てくるもんだ。

簡単に潰れるだの無くなるだのって話で、

どいつもこいつも片付けられん事も多い。


昨年末に聞いたんだが以前はウチも取引があった

DEMA」が無くなっちまうそうな。

何が原因だとか理由だとかは知らない、俺。

取り引きも付き合いも無いだけに、

別段ソレを聞いて回ったりする気にもならんし、

余程の特殊な事情でもないなら、

近況からしてある程度は予測してた事っていうかね。


ただ、正直やっぱり少しは寂しい気もするよ。

色々とイベントや企画を催した店ではあったし、

楽しい思い出だとか、あの店で出会った人もいる訳だから。

なんだろうね?

きっと楽しくなくなってたんじゃないかな。

会社ってぇか、店とかブランドは、

楽しくなかったら終わりだと思うんだよね。

楽しんでる中で出てくる欲求とかアイデアに比べて、

ツマンネー中で出てくる欲求とかアイデアって、

やっぱりツマンネーもんが多い。

苦しい状況でも楽しもうとしてたら、

面白いアイデアが出てくるもんだしな。

たとえ無くなったとしても、

楽しみたかったり好きなんだったら、

一から出直してまたやるでしょ。


さて、これで東京には、

シルバーアクセサリー専門のセレクトショップ

ってのが更に減った訳だ。

前記した通り、

シルバーアクセサリー専門のセレクトショップとは、

取り引きが少ないし、ましてL,S,Dじゃ都内には無いし。

くまなく調べているんでもないから、

果たして都内に何件ぐらい専門のセレクトショップが、

未だに健在なんだかあるんだかは不明だが、

年々減少していってる事は間違い無い。


減るって事は要されてないって事でもあるが、

変化としてセレクトショップからオンリーショップへ

ブランド側が切り替えたのが多いってのもある。

セレクトよりもオンリーのが好き勝手出来るしって、

クリエイトする側は気持ちとしてあるだろう。

もう一つに景気って部分も大きく左右してくるだろう。

そんでもやっぱ、

最終的には好きでやってる奴が一番強いと思う。


この、「好きでやってる」って部分。

それ以外の部分は大概が金が儲かるからって事になるが、

そーゆーのが決して悪い訳じゃない。

経済活動でいったら儲けて金循環させてる奴のが立派だ。

15年ぐらい前には、そんな人がいっぱい居たんだよ

シルバーアクセサリーの業界に。

言い方は悪いが、

ある種の「何でもいいから」みたいな感じで、

粗悪な物が多く売られてたし、

ブランドってのは名ばかりで、

しっかりした形態で活動してるブランドも少なかった。

よーするに流行りモン扱いで

一攫千金的な業者が沢山居た訳だが、

時が経つにつれ、流行りモンから専門的な方へ

業界形態が変化していく中で、

一攫千金系の人の多くはバッタバッタイナゴ便所コウロギ

みたいな感じで消えてったり、

一攫した千金で業務拡大して

海外ブランドのディストリビューターになったり、

オリジナルのブランドを設立したり、

専門のセレクトショップを全国展開したりと、

15年ぐらい前のそーゆー人達の一部が、

現在の業界の大きなシェアを獲得してる感は否めない。


消えてった人達と残った人達の違いを

事細かに書く程の時間はないが、

大きく分けると、掴まなかった人と掴んだ人。

例えて言うなら、チョロQとミニ四駆。

今の業界に足りないのって、

実はチョロQの方だったりもする。


何!?

何てか?

この例えが解らない。

チョロQって、スタートダッシュのみでしょ。

つまり本質は掴まずに最初だけ勢いで儲けて終わり。

おまけにチョロQは、重いの載せればウィリーして、

思っても無いあらぬ方へ行っちゃったりするし。

でも、それが良い場合もあったりすんだよ。

シェアを広げる時には。

そう思える程に今のシルバーアクセサリー業界は、

拡散性や膨張性が無くなってる。

単純に言えば、一攫千金系の人達が暗躍しないって事は、

それだけ金が儲け難く、リスクが大きいって事。

これを淘汰の一環と捉えるか、

業界の安定(他者が入り込まない)と捉えるか、

そこらへんは人それぞれ。

話がねじ曲がってきたので本題に戻そう。


広くセレクトショップを展開するには資本が必要だ。

金儲けが悪いし目的がそれだけだと長く続かない。

なんて通り一遍なふうにも思わないが、

業界にとって大きな問題になってくるだろう点は、

そーゆー人達がシルバーアクセサリーが好きなのか?

もしくは取り扱うのが好きなのか?

それとも金儲けだけが好きなのか?

って点だと思う。

何故なら、資本力やコネクションを有している企業は、

業界で考えても大して多くないので、

オーナーが金儲けだけをしたいなら、

シルバーアクセサリーじゃなくて、

防災グッズの店に変わっていくかもしれん。

求めてるのが金だとしたら売る物は何でも良い訳だから。

都内にオンリーショップを展開しているブランドならば、

同じ都内のセレクトショップとの取り引きに

然程の重要性は感じないかもしれないが、

活動拠点が地方でのオンリーショップだったり、

インターネット上だったりするブランド

(実際自分がそうな訳じゃないので、あくまで予測だが)

にとっては大きな課題として

セレクトショップとの取り引きが出てくる。

この4、5年で専門のセレクトショップの数は減り、

ショッピングモールや百貨店で展開している

ある程度の規模のショップはセレクトとはいっても

自社でディストリビューターをやっている

ブランドを取り扱うのみだったりと転換してきている。

こうした現象は国内情勢や景気が

少なからず反映しているのもあるが、

業界の多様化が一旦の落ち着きをみせ、

淘汰と二極化が進行している表れでもある。

セレクトショップは当然ながら利益率の高い

自社占有のブランドでビジネスを進行し、

個人のブランド側はオンリーショップの設立へと向かう。

都内のマーケットを然程の重要視していないという

ブランドもあるので全てに当てはまる訳でもないが、

これも淘汰と進化の一つと考えれば当然の流れだが、

同時に面白味の減少も起っているといえよう。


つまり、こーゆー流れって、

資本主義の形態としても至極当然でしかなくて、

セレクトショップにしてもオンリーショップにしても、

最初は好きでやってて、

馬鹿な事もノリも遊びも出来てたのに、

いつしか現状を維持して生活を支える為に

全てはシステム化していき、

生産ノルマに営業ノルマに販売ノルマ・・・・・・。

気が付きゃ、やってることはパン工場のバイトと同じ。

こーゆー資本主義経済どっぷりな状況を

シルバーアクセサリー業界に照らし合わせると、

色々な意味で面白味ってのは減少していく事になる。


でもさぁ、ソレって楽しいの?

既存の枠に嵌まりたくないから

自分で何かを始めたんじゃねぇの?


好きでやってる奴等には、

セレクトショップでの取り扱いが無いとか

そーいった現状に対して打開策が無い訳じゃないんだよなぁ、

とは思う。

ただし、

やっぱり金持ちにも余裕のある生活にもなれない。

そんな方法だがね。

詳しい話は業界関係者じゃない人には、

あまりに解り難過ぎるので省くが、

よーするにリスクヘッジが大きな問題点になっている訳で、

不景気に資金不足に更にリスクが乗っかってきたら

誰もやりゃしねぇって点だが、

それはさぁ、企業的な物の考え方ってやつであって、

物創って空間創って文化を紡いでこうって奴には

大した問題じゃない筈なんだよね。

まーそりゃ、通常であれば店とか運営してたら

最低限でも生活してく分の利益が発生しないと

楽しいどころか続いてかないとか言われそうだが、


そんなん店で暮らせばいいんじゃね?

飯とか食わないでやってれば良くね?

運営しながら他の仕事やれば良くね?

本当に好きならそうでもしてやれるだろ?


最低限、生きてられて成長出来る。

それ以上に金が欲しいだけなんだとしたら、

それは店やブランドをやってる事が楽しいんじゃなくて、

金が入ってくるのが楽しいって事なんだよね。


うん。まー、俺みたいな生活捨ててやってる奴に、

まともな生活持ってる人は、

そんな事を言われたくもないんだろうがね。


淘汰と進化。

結局のところ進化して生き残るのは、

好きで生き続けようとする奴だけだ。