2011/10/31
方法や手段というのは時代や情勢と共に変化して、
「これが正解」と言えるものなど存在し得るのは一時でしかないのだが、
どうしてもソレが有るかの様に考えてしまうものだ。
確かに正解の可能性が大きいセオリーというのは、
時代や状況が変化しても普遍的に存在するし、
セオリーに従う事で成功した多くの例も世の中で目にする事がある。
土地を持たぬ者が原野を開墾して農地にする方法を知れば、
どうにかして土地を手にする手段を講じるだろうし、
幾許かの金銭で開墾しても構わない土地を手に出来る話を聞けば、
その話に乗る者も少なく無いだろう。
ただ、金銭を払って開墾しようとした土地が砂漠だったならどうするだろう？
先日、昨年も行われた「銀フェス」（SILVER EXHIBITION）
というイベントが渋谷のスペースEDGEで行われたそうな。
「そうな」ってのは、実際に会場に足を運んでもないし、
もとより企画段階でも話すら聞いてなかったので、
８月頃だったか最初に誰かから話を聞いた時は、
「あ〜アレ、またやんの！？
どー考えても、明らかに出展者も来場者も前回より酷い結果になるでしょ」
とか、そんな話を誰かとしていた、俺。
そんな話をしながらも、
そもそも企画の話や出展の依頼が来ていない時点で、
主催者からしたら俺の事など相手にしていないし、
必要無いって事なんだろうとは思い、それは良い傾向だなと思っていた。
その時は、俺。
何が良い傾向なのかを大まかに説明すると、
話は現在から一年半ぐらい前まで遡る。
調べたら直ぐに判る事を隠してもしょうがないので実名で記するが、
アップビートという広告代理店がというか、その会社の社長が、
俺のところに「銀フェス」の企画を相談しにやって来た。
こうしたシルバーアクセサリー業界の合同展や合同イベント自体は、
俺自身も５年ぐらい前までは広告代理店よりは雑誌社の方が、
公平な視点で開催出来るだろうと企画を何社かに持ち込んでいたが、
俺が方々で打ち合わせをしていた企画は見事に実現しなかったし、
この時に相談に来た広告代理店の社長にも、
当時は企画内容を話したりもしていたが、
難色を示して企画に乗ろうとはしなかった。
そんな経緯も有り、相談に来られた時は
「何を今更言ってんだろうコイツは？」ってのと、
「５年前との情勢の違いを理解してんだろうか？」って
不思議な気持ちでしかなかったが、ザッと企画書を読んで説明を聞き、
「俺が出たって意味ねぇし、成功する訳ねぇよ、こんな企画」
という返答がまず口から出た。
しかし、もう一つの考えも同時に頭に浮かんだ、俺。
業界の活性化だ、広いマーケットに向けてだと謳ってはいるものの、
異業種のバイヤーやプレス関係を呼び込む力をその代理店が持っていない。
その事を知っていた俺は、「銀フェス」ってイベントに、
違う主旨を持たせるならば協力するって話をした。
「今のシルバーアクセサリーシーンで活躍していると見られてる様な、
ムック本で巻頭１０ブランドみてぇに取り上げられるブランドじゃなくて、
これからそうなってくとか、そうなろうとしてるようなブランド。
そーゆーのをフォーカスするとかさ。
要するに次世代マシーンが延びてく為の場にするとか、
イベントにするってんなら企画を出さない事も無ぇよ。
かといっても俺は出ないけど」
そっくりそのままとはいかないが確かそんな話を提案して、
出展費用の安いブースを用意させたり、
彫金の実演を見せる為のブースを企画したりした。
昨年（２０１０年）の「銀フェス」に足を運んだ人は見たかもしれないが、
おそらくブランド一本で食ってけて無いだろう人達のブースがあったり、
彫金の実演（参加ブランド：SFD,FAL,Dual Flow,Ability Normal）
が行われていたりした。
まぁ、そこらへんが提案して実現された企画ってわけだ、俺。
しみったれた話はあまり書きたくも無いが、
彫金の実演ブースに関しては、
机やら椅子・ショーケースの手配と設置もウチがやって、
ついでに書いとくなら「ストリートアクセNEXT FILE」のブースも
企画と設置はついでの勢い余ってウチがやってた。
（「銀フェス」に関連した雑誌自体の企画や原稿のいくつかもだが、俺）
で、まぁこうした事を書くと、
余計な予算を俺が使ってるかの様に捉えられそうなんで、
こいつもついでに書いておくが、
移動や設置や企画や人件費やらなんやら全てノーギャラでな、俺。
正直なとこ俺がノーギャラであれこれやってたなんて話はどうでもいいし、
そんな事は今までも今でもかなりの数やってて、
こんな話はしみったれてて書きたくも無いんだが、
こういった事情でも書いとかないと業界の実情ってのが、
読み取れないんじゃなかろうかと書いてる訳で、
そんなこんなで２０１０年に行われた「銀フェス」が、
果たして成功だったのか失敗だったのかは知らねぇ、俺。
「そんな無責任な！！」とでも言われそうだが、
その後に主催者の広告代理店アップビートの人間から聞いた事も無いし、
ましてやアノ会社の人間に会ってすら無い。
最初に企画の相談に来たその会社の社長から、
「お疲れ様でした」だの「ありがとうございました」
だのの挨拶や連絡すらもまるで無かったので、知る由も無い。
知ってるのは出展してた人や来場者の数人から聞いた話と、
短い時間だけ会場に居た自分の感覚だけだ。
で、遡った話を終わりにして、
何故に今回（２０１１年）の「銀フェス」で
話がウチに来ないのが良い傾向だと思ったかってのは、
２０１０年の時点で
「これから俺みてぇなのをブッ潰してやろうっていう次世代マシーンの為」
って俺は思ってた訳だから、
俺のトコに話がこねぇってのは凄く良い傾向だな、俺。
なーんてふうに考えてたりしてた訳だ、俺。
さて、じゃあ２０１１年の「銀フェス」がどうだったか？
そんなのは知らねぇ、俺。
だいたい「銀フェス」やってる時には、
自分トコで展示会やりながらツアーの準備してて、
会場に足すら運べる訳も無い。
なので、こっからの話は出展してた人間と
会場に足を運んだ人間の何人かから聞いた話。
つまりは推測での文章で、事実とは異なる点もあるだろうし、
あくまで聞いた話に対する主観的感想でしかない。
要するに「刺身のツマ」って事になってんだな。
ってのが聞いた話に対する率直な感想だ、俺。
海外の合同展示会だと良くある話だが、
多くのバイヤーやプレスが目的にしてるのは、
現状売れているブランドや人気のあるブランドで、
主催者もそういったブランドを
（主催者のSHOPで扱ってるから一押しもあるが）
軸にブースの割当を決めたりしている。
例えるなら、刺身の盛り合わせでも人気がありそうな
トロやウニなんかはメインの配置にされるが、
シャコなんかだと隅の方で悲しげに乾いていきそうな感じとでも言うか、
まぁそうした展示会における事ってのはネゴやコネだけでなく、
ブランド自体の実力や能力も関係してくるので仕方が無いもんだと思う。
ところが話だけ聞いてる限りだと、
２０１１年の「銀フェス」で行われてた事ってのは、
シルバーアクセサリーのブランドを刺身のツマにしてる様なもんだなっと。
んー、誤解を招きそうなんで書いておくと、
参加してるブランドさんやクリエイター、
色々と「銀フェス」内で企画をやったブランドさんに対して、
何か言いたいとか文句があるとかでは無い、俺。
参加も企画もしてない時点で文句がある筈も無いし、
企画の意図や内情も知らんのに言いたい事もねぇだろうよ。
むしろあの会場内とか条件でよくやれるなって感心というか、
凄いもんだなって思う。
だというなら何があるのかって事を書くと
「刺身のツマでいいのか？」って話だ。
そりゃあ、醤油にちょっと絡めて食ったら
刺身のツマの大根も悪かぁねぇけど、
オデンとかの方が良いんじゃねぇの？
要するについでの飾り程度に皿の上を賑わす為に存在させるなら、
無駄に「銀フェス」とかやってんじゃねぇよって事だ。
中には出展して良かったとか、
会場に足を運んで良かったって方々もいるんだろうし、
何を持って成功だ失敗だとするのも人それぞれなんだろうが、
話を聞いて感じた事ってのは、
「最初っからやらなきゃ良いのに」
ってぐらいの失敗だったろうなってね。
俺んトコに話が来なかった時点で、
「良い傾向だなぁ」なんて思ってただけに非常に残念だ、俺。
皮肉や風刺でこんな事を書いてる訳でなく、
シルバーアクセサリーって業界のこの先を考えると、
素直に残念な事をしてるなって思う。
目先の集客やブースを埋める為だけにしか企画を出せない
広告代理店が主催ってのもなんとも残念だが、
そーゆー代理店が主催でないとフェスなんてもんが開かれないのも残念だ。
ただ、それが実情なんだと納得せざるをえないのも残念だ。
「次世代マシーンの為」って事を書けば、
「余計なお世話だ！！」って意見も出てきそうだが、
シルバーアクセサリー業界のこの先を考えたら
そーゆー意識が必要なんだろうと思う。
世代交代への意識転換とかそんなのがね。
ただし、次世代マシーンだの世代交代だのって言っても、
そこには出て来る側のパワーが必要不可欠なんだが。
少なくとも、刺身のツマにしか出来ない様な企画や、
そんなやり方しか出来ない広告代理店、
原野じゃなくて砂漠を開墾させるかのようなフェスを
力業でブッ潰せる様なパワーがね。
それなら他の方法や手段なんぞいくらでも有るっていうのに。
えっ！？それってどんな方法や手段かって？
そんなもん、実行しない奴には理解出来ないだろうし、
実行してる奴なら聞く必要も無いこった。
何にも無しに方法と手段だけ教えてやる。
そんなにお人好しじゃねぇんだよ、俺。
